ほのぼのジャニヲタ

主にえびちゃん。はしとつ、橋五、風マリ、たいぴちゃん。

さよならの向う側

 

柊真くんを初めて生で見たのは2014年9月。

 

当時ジャニーズWESTにハマっていて、藤井担を名乗っていた私は、あほすきの番協が当選して「シゲが見れるラッキー!」ぐらいの気持ちで番協に参加した。

ジュニアについて、少クラを見始めて半年ほどでようやくメインの子達の名前はわかる程度だった私は、関ジュについての知識はより浅く、柊真くんのことは下の名前と顔とTwitterで見かける「この夏いなかったらしい子」ぐらいにしか知らなかった。

ちなみにジュニアの年間行事(夏は絶対舞台があるとか冬はクリパがあるとか)については全く存じ上げなかったので「この夏にいなかった」ことの問題についてもわからなかった。



第一印象は色が透けるように白くてまつ毛が長くて綺麗な顔の子。生放送前に出て来た時、観覧のお客さんにニコニコ手を振る重岡くんとは対照的に手に台本をぎゅっと握りしめて、天井を見ながら口をパクパク動かす姿が印象的だった。ちなみにその日の生放送のOPは、彼が一人でナレーションするような場面があったため緊張していたようだった。

 

客席に対して一切と言っていいほど構わないし、料理をするコーナーでは器用そうな顔をしているのに、とんでもなく包丁使いが下手で、でも本人は一生懸命自信満々な様子で、細長い綺麗な指をピーンと反らせてネギを抑えて、上からストーンと包丁を落とすもんだから危なくてハラハラして、重岡くんを見に来たはずがほとんど柊真くんを見ていた気がする。

その後も味見をしようと、沸騰した鍋のスープを金属のスプーンで掬って、冷ましもせず熱さにビクビクしながら口の中に突っ込むのを4回も繰り返したのを見て「この子なんか思ってたのと違うな…」という印象と共にその日を終えた。

 

 

少クラを見ていると自ずとジュニアのなまえや性格も少しずつわかるようになってきて、せっかくBSが映るし関西繋がりでまいどジャーニーを見始めた。

こちらも回数を重ねるごとに名前や性格、6人の中での立ち位置などがわかってきた。この中で個人的に顔が一番好みだった柊真くんをメインで見ていたが、どうやらこの子はかなり変わった子なようだった。

ハーフ顔なのにバリバリの関西弁で、お笑いが大好きでツッコミに命をかけている。うまい例えが出来た時のドヤ顔がすごいし、喋ってなんぼと思ってるようでよく喋る。ウケないと目に見えてテンションが下がって泣きそうになるし、ウケるとすごく嬉しそうに可愛い顔で笑う。

この子、この綺麗な顔を利用すればボーッとしててもある程度のところまで行けそうなのに、全然顔面を有効活用できてない!と気付き始めた時、当時は流星くんのことも「宇宙一美しい顔面を有効活用しきれてないところが好き」だった私はものすごく興味が湧いてきた。

まいジャニ100回記念でかねこじに目覚め、なにきんちゃんの可愛さにもじわじわ気付き、藤井担だけど柊真くんが気になる日々が続いた。

 

 

そして初めて申し込んだクリパ。

1階のかなり前列が当選し、ジュニアのコンサートは初めてだったのでそわそわしながら、柊真くんの激盛れうちわ(本人談)を購入して挑んだ。柊真くんのうちわを持って「あなたのファンはここにいるよ」と意思表示できることがすごく嬉しかったのを覚えている。

どうやら柊真くんは他の子に比べてあまりファンサービスらしいことはしない子のようだったが、ステージに近く、彼のうちわも少なかったのでぼーっとしていてもファンサをくれた。

 

それから数回クリパに入り、もう完全に柊真くんに心を奪われていたけれど、ジュニアだということにどこか抵抗があったのか、流星くんを嫌いになったわけではないという気持ちが邪魔をしたのか「まだ藤井担だから!冬はWESTの現場がないからだから!あけおめで流星くんに戻るから!」と大きな声で自分に言い訳をしていた。

素直に担降りできなかった理由にもう一つ、きっと彼の性格が影響していた。私の見ている限り、この子はすごく繊細で優しくて不器用な子だった。ものすごく人の気持ちに敏感で傷付きやすくて、その綺麗な顔でなぜかお笑いキャラに身を置こうとしてしまうぐらい、器用には生きられない子なんだなと思っていた。

他のジュニアと違って、ファンやアイドルという職業に対して少し冷めているような気もした。お人形のような顔をして、すごく人間くさい子だった。そこが支えてあげたいと思えるところでもあり、応援する上でしんどくなるかもしれないと不安な点だった。

 

 

年始のジャニーズWESTのコンサート。流星くんのうちわと柊真くんのうちわを持って行った。あくまで流星くんメインで、柊真くんが近くに来たら柊真くんのうちわを振ろうと思っていた。

初めての大阪城ホール、スタンド3列目の通路側だったので近くてそわそわした。

いざ始まってみると、柊真くんはどうやら逆サイドの立ち位置が多いようでこちらにはあまり来なかったが双眼鏡で覗いたり、近くに来る子を見たり素直に楽しんでいた。

問題が起こったのは確かアンコールのOle Ole Summer。

流星くんが目の前の立ち位置で、テンションが上がって手を振っていると、なんと左側から柊真くんが歩いてくる。どうしようと慌てていると、二人が目の前で横並びになるというまさかすぎる事態が起こってしまった。

担降りしかけている現担当と、担降り先になりかけている男の子がぴったり並んだのである。しかも私は両方のうちわを持っている。どうしようどうしようと慌てまくった結果、感情に任せて前に出したうちわは柊真くんのものだった。

移動しようと背を向ける柊真くんに、思わず届くか届かないかの声で「柊真くん」と呼んでしまった。するとクルッと振り返り、ちょうど通路で見えやすい場所に立ち止まって口パクで「ありがとう」と言ったように見えた。その時の顔は何かを決意したような、少し切なそうな顔をしていたのを今でも鮮明に覚えている。

 

私が担降りしかけているのを彼は知るわけもないけれど、背中を押されるというよりは前から腕を引っ張って身体を引き寄せてもらった感覚だった。

その日の夜の公演とその翌日の1公演に入り、流星くんが目の前にいても柊真くんのうちわを持っていたし、目の前の流星くんより遠くの柊真くんを双眼鏡で追っていたので、頭で悩んでいても身体は正直だなぁと思いながら、もう強がるのは無理だったので、その日にすんなり担降りができたのであった。


 

 

それから2ヶ月ほどは、コンサートもなかったので、まいジャニやあほすき、ジャニ勉などのメディアを見て過ごしたが、少しずつ違和感を感じるようになっていった。

元々よく喋る方だけれど、違和感があるぐらいよく喋る。何かを残そうとするみたいによく喋る。そして照れ屋なのに、メンバーを素直によく褒める。なんだかすごく頑張っている。

彼が意識的にテレビに映る自分を変えてきているのは確かだったが、それは何のためなのかはもちろん知るよしもなかった。

 

 

 

 

そして3月、春松竹。紫耀くんが不在にも関わらず凄い倍率だったが、どうにかチケットが取れた。

初日のレポを見ていると柊真くんが泣いてしまったというツイートを数件見た。嫌な予感がした。

とりあえず自分の目で見てみようと1回入ったが、どうもおかしい。私の知っている限りではこの子はこんなに手当たり次第ファンサをする子じゃないし、曲の配分やソロパートもいつもより多いし、ダンスもこのメンバーの中ではビリに近いぐらいの腕前なのに前列で、見たことがないぐらい本気で踊っていたり、たった数ヶ月しか見ていない私にでも彼自身や彼に対する環境が違っているのがすぐにわかった。

あと数回分のチケットは持っていたが、行くのがすごく嫌だった。見たら見るだけ悲しくなる。気付きたくないことに気付いてしまう。それでも何とか松竹座に足を向かわせた。見れば見るほど、自分の中に消してしまいたい確信が生まれた。

 

そして、普段は初日とか千秋楽に全く興味はないけれど、チケット交換でたまたま行けることになった千秋楽。

行きたくないとギリギリまで悩んだが、せっかくの大事な日のチケットが手元にあるのだから、自分の目で確かめることにした。



OPから柊真くんは泣いていた。この子は元々すごく泣き虫なことは知っていたけれど、私が応援していた期間はWESTがデビューして関西ジュニアを引っ張っていく立場にあったこともあり、泣き虫キャラは封印していたので、彼の涙を見るのは初めてだった。

一曲ずつ丁寧に歌って踊って。私も強がって泣くのを必死で堪えていたけれど、後半のLIFEで康二くんが泣き出してしまったのを皮切りに、文一くんと龍太くん以外が泣き出してしまって。あぁ、そういうことかと確信した。

辞めます。最後です。と言葉にはされないけれど、泣きながらみんなで柊真くんをセンターにして囲んだり、一人ずつ惜しむようにハグをしたり、ダブルアンコで柊真くんだけ花道への登場があったり。明らかに特別扱いだった。AKBで卒業公演というのがあるらしいけれど、まさしく例えるなら卒業式だった。

目の前で、一番大切にしていたアイドルが普通の男の子に戻ろうとする瞬間を目にする日が来るとは思わなかった。

幕が降りて、松竹座は女の子たちの泣き声と柊真くんの名前を叫ぶ声でいっぱいだった。楽しかった、キラキラしたはずのこの場所がこんなに悲しい場所に変わるのかと、惨劇だった。

 

 

それから二日間ほど泣いて過ごした。何も喉を通らなくて、痩せたと心配された。確かに自分の目で見届けたはずだけれど、当たり前に本人の口から明言されることはなかったので、もしかしたら私が見たあの光景は幻だったのではないか、もしかしたら辞めてないんじゃないかと思ったが、webの連載から柊真くんのページだけがなくなっていた。

じわじわと、幻なんかじゃなくてあの日は本当に存在したんだよ、と理解せざるを得なかった。

 

 

 

それからたった数日間で、戸塚くんの出る恋するヴァンパイアの舞台挨拶(行ける精神状態ではとてもなかったけど、ドタキャンするわけにもいかず)で同行させてくれた方が柊真くんの同級生だったり、柊真くんがいるはずだった某番組の番協が当たったり、このタイミングかよ!と笑うしかないようなこともあったりして、どうにか傷を隠しながら日常生活に復帰した。

柊真くんが出るかも、と思い取っていたコンサートのチケットは全て譲りに出した。大事な子がいたかもしれない場所をわざわざ見に行く気にはなれなかった。

 

 

 

彼がアイドルを辞めた日から数日間は、不安定で繊細だった彼を支えてあげられなかった自分に対する不甲斐なさ、どうして辞めるという選択肢を取らざるを得なかったのかという不器用な彼に対する疑問、それと同時にやっぱりそれほど繊細な子だったんだという納得、担当できたのがたった4ヶ月だったという後悔、色んな気持ちがぐるぐるしていた。



今現在の私はというと、ジャニヲタ辞められるなぁと思っていた割にはのんびり続けていて、担当はいないけれど、柊真くんを担当する少し前から気になっていたA.B.C-Zを主に、Sexy Zoneなど手広く応援している。

変わったことと言えば、松竹座に行かなくなった。関ジュは特別な存在であるけれど、まだまだ松竹座には踏み入れられないだろうなぁと思う。あと、ジュニアに対する興味が薄れた。やはりいなくなる怖さを知ってしまったからだろうか、その不安定さに耐えられないのか、知っている子はたくさんいるし少クラも見るけれど特別興味のある子もいないし、現場も行かない。

 

 

彼が普通の男の子に戻ってから、ちょうど1年が経つ。薄情かもしれないけれど意外と、早い段階で未練はなかった。戻ってきてとか、どんな形でもいいから顔を見せてとは思わない。自分で決めたことに対して、過去を振り返って後悔するような子ではいてほしくない、という願望も込めて。

最近は辞めジュが地下アイドルになったり、ツイッターを始めたりするのはお決まりになってきているけど、それをされても私は目には入れないと思う。あくまでジャニーズ事務所のアイドルとして、大好きな仲間の中にいる柊真くんが好きだったから。

ジュニアが辞める、ということに出くわしたのは柊真くんが初めてだったけれども、他の子達の辞める姿を見ていると、最後の日にコンサートが出来たこととか、ステージに立つことを完全に辞めたりとか、とても稀なケースだったんだなぁとしみじみ。関ジュっていうのも大きかったんだろうけど。




たった4ヶ月しか担当できなかったけれど、別れがあるならあの4ヶ月はなかった方がいいとも思わない。確実にあの4ヶ月は、私のこれからも続く長い人生の中で必要だったんじゃないかなぁ。この別れも、人生の中で必要なものだとプログラムされていたのではないかとさえ思う。柊真くんが出会わせてくれたお友達もたくさんいるし、大切な出会いだったなぁと思います。

 

 


あんまり感じよくないなと思って黙っていたけれど、春松竹の期間中の柊真くんは私の知っている(たった4ヶ月間だけれど)柊真くんではなかったのが気になっていて。

いつもはみんなよりワンテンポ遅れて踊るのに、必死で踊っているし、歌もすごく頑張って心を込めて歌っているし、ファンサマシーンのあだ名が付けられてもいいくらいファンサうちわに完璧に応えまくっていた。

もうすぐそこに、アイドルでなくなる日が見えているのだから、当たり前と言えば当たり前だけれど、最後の力を使ってものすごく背伸びしているように見えた。

そのおかげか、ツイッターでもすごく「柊真くんかっこいい!」とか「柊真くんに担降りしそう!」なんて見かけるぐらい評判はよかったけれど、なんか違うんだよな〜とモヤモヤしていた。

 

でも最終日、最後に真っ白の綺麗な衣装を着て、グズグズ泣きながら、ぽやぽや噛みまくってほにゃほにゃ挨拶をしている柊真くんを見て、すごく安心した。

ちゃんと、この子は本来の姿に戻れたんだ。

降りた幕と共にアイドルの金内柊真とサヨナラをするんじゃなくて、ちゃんと最後にステージ上でファンと大切な仲間に見守られながら、アイドルじゃない普通の男の子に戻れたんだって。

今考えると、それを見られただけでよかったなぁと思っている。

 

 

アイドルをやっていく上で、普通に生きていたら見なくていいものも沢山見ただろうし、たくさん傷付いたりもしただろう。

でもそこに居続けてくれてありがとう。あなたの最後の4ヶ月に出会わせてくれてありがとう。

いなかった夏から、戻ってきてくれなければ出会うこともなかったもんね。

あなたが選んだ道ならば、絶対に間違いはありません。

ずーっとずっと、心のどこかであなたの幸せを祈っています。

 

好きにならせてくれてありがとう。大切だと思わせてくれてありがとう。今年は20歳だね、たくさんのものを見て、たくさんの人と出会って、素敵な大人になってね。頑張り屋さんだけど、無理しすぎない程度にね。柊真くんなら大丈夫、これからもたくさんの人に愛される大人になれるよ。応援しているよ。大好きだよ。たくさん笑っていてね。これからも、ずーっとずっと。